「延払金利が現実支払価格に含まれるか否かについて」
【金利の関税評価①】【延払金利①】
「延払金利が現実支払価格に含まれるか否かについて」
~本記事の内容~
【Ⅰ 延払金利が現実支払価格に含まれるか否かについて】
【Ⅱ 他の金利との比較】
【Ⅲ 過去の通関士試験に出題されたか否かについて】
本記事は、独立通関士(自らが通関業の許可を受けて通関業者となって、通関士登録をした通関士を私は勝手にそう呼んでいる。)の関根隆啓が通関実務用に書いたものです。通関士試験受験生の方も是非【Ⅰ 延払金利が現実支払価格に含まれるか否かについて】からお読みください。
【Ⅰ 延払金利が現実支払価格に含まれるか否かについて】
-結論
買手が売手に支払う延払金利の額は、その額を明らかにすることができると認められる場合は、現実支払価格に含まれない。
-関連条文の確認
-用語の確認
1.延払金利とは
関税定率法施行令第1条の4第4号(輸入貨物につき現実に支払われた又は支払われるべき価格)に規定する「延払金利(のべばらいきんり)」とは、
輸入貨物の輸入取引において、当該輸入貨物又は船積書類の受領後に代金の支払いを猶予する場合に売手が買手に対して請求する金利をいう。
2.現実支払価格とは
「現実支払価格(げんじつしはらいかかく)」とは、
買手が売手に対して又は売手のために、輸入貨物に係る取引の状況その他の事情からみてその輸入貨物の輸入取引をするために現実に支払った又は支払うべき総額をいい、売手の債務の弁済等の間接的な支払の額を含むこととされている。 また、関税定率法第4条第1項(課税価格の決定の原則)に規定する「現実に支払われた又は支払われるべき価格」のことをさす。
-事例
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出典:税関HP
(http://www.customs.go.jp/zeikan/seido/kanzeihyouka/hyokajirei/hyokajirei4110025.pdf)
-注意点とポイント
1.「延払金利」という用語だけで現実支払価格に含まれるか否かを判断してはならない。
買手が売手に支払う延払金利の額は、その額を明らかにすることができると認められる場合は、現実支払価格に含まれないが、その額を明らかにすることができないとされた場合は、その額は現実支払価格に含まれないとすることはできない。
2.「延払金利の額が明らかであるとき」を判断する上で3つの要件があり、すべてに充足しなければならない。
①延払金利の額が現実支払価格(仕入書等の額)と区別されていること
②延払金利に関する取決めが書面(売買契約書等)で行われていること
③税関が要請する場合、買手は、現実支払価格(延払金利の額を含まない。)として申告した価格で、貨物が現実に販売されていること及び延払条件付取引に係る延払金利の利率が、金融を与えられた国及び時点における一般的な水準を超えていないことを挙証する資料等を提示することができること
実際の実務で延払金利の額を現実支払価格に含めずに輸入申告する場合には、仕入書に延払金利の額が記載してあるだけでは足らず、売買契約書その他挙証資料等が必要となります。
【Ⅱ 他の金利との比較】
更新中
【Ⅲ 過去の通関士試験に出題されたか否かについて】
過去の通関士試験においては、延払金利に関する問題が下記のとおり出題されております。
まず、関税法等での出題に関しては、第38回、第40回及び第47回ともにほぼ同様の問題で、延払金利の額が課税価格に算入されるか否か(現実支払価格に含まれるか否か)を問う内容でした。「延払金利の額が明らかなとき」を判断させるといった内容のものではありませんでした。
次に、通関実務での出題に関しては、私が調べた限り、輸入申告書作成問題には盛り込まれておらず、第39回及び第48回の課税価格の計算問題で盛り込まれて出題されておりました。第39回は、「Mは、当該家具を輸入するに当たり、仕入書価格とは別に、次の費用を支払うことになっている。当該輸入取引が延払条件付取引であることによる延払金利」、第48回は、「当該売買契約には、次の事項が規定されている。コピー機の代金に係る支払期日を経過した場合には延払金利が発生する旨」「Mは、延払金利として180,000円をコピー機の代金とは別にXに支払った。」でした。正解は、どちらも課税価格に算入されない(現実支払価格には含まれない)内容となっておりました。
第52回通関士試験には、「延払金利」の出題は見られませんでした。直近は、第48回ですので、出題されなくなってから4年経っております。過去の通関士試験を見る限りでは、出題される内容ですので、来年の第53回通関士試験にはもしかしたら出題されるかもしれませんね。そのときは、「延払金利の額が明らかであるとき」を判断する上で3つの要件を問う難易度の高い問題も想定できるので、余裕のある人は頭の片隅に置いておいたほうかいいかもしれません。
(関税法等での出題)
(通関実務での出題) 【更新中】
第39回通関士試験 平成17年(2005年)第6問 【通関実務】【計算式】課税価格の計算
第48回通関士試験 平成26年(2014年)第12問 【通関実務】【計算式】課税価格の計算
-Tの通関士試験受験奮闘記 【更新中】
(関税法等での出題)
第38回通関士試験 平成16年(2004年) 【関税法等】第15問肢c
第40回通関士試験 平成18年(2006年) 【関税法等】第14問肢1
第47回通関士試験 平成25年(2013年) 【関税法等】第26問肢5
(通関実務での出題)
第39回通関士試験 平成17年(2005年)第6問 【通関実務】【計算式】課税価格の計算
第48回通関士試験 平成26年(2014年)第12問 【通関実務】【計算式】課税価格の計算
-問題集
「延払金利」の語群選択問題まとめ 【更新中】
「現実支払価格」の語群選択問題まとめ 【更新中】
KHB1